礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「戦ふ科学者」荒川清二医学士と玄米食

◎「戦ふ科学者」荒川清二医学士と玄米食 昨日の続きである。月刊誌『富士』の一九四四年(昭和一九)一月号から、佐藤通次のエッセイ「戦ふ科学者」を紹介している。本日は、その二回目。 昨日紹介した部分に続き、改行して次のようにある。 荒川〔清二〕君…

デング熱は敵兵を苦しめる武器になる(佐藤通次)

◎デング熱は敵兵を苦しめる武器になる(佐藤通次) 書棚を整理していたら、古い雑誌が出てきた。大日本雄弁会講談社が発行していた月刊誌『富士』の一九四四年(昭和一九)一月号(第二〇巻第一号)である。 その中に、「戦ふ科学者」というエッセイがある。…

小林篤郎『物質の謎』再版(1946)の「序」

◎小林篤郎『物質の謎』再版(1946)の「序」 今月二七日に、小林篤郎著『物質の謎』(大雅堂、一九四四年八月二〇日初版)の「序」を紹介した。 実は、この本には、戦後に出た「再版」が存在する。本文は、一字一句、変わっていないが、「序」は、まった…

湯川秀樹の中間子理論を少年少女に紹介(1944)

◎湯川秀樹の中間子理論を少年少女に紹介(1944) 昨日の続きである。「ぼくらの文庫」の一冊、小林篤郎著『物質の謎』(一九四四)を紹介している。 同書の構成は、序、第一章~第二六章、結び、用語解説、というようになっている。その第二六章は、湯川…

小林篤郎『物質の謎』(1944)の「序」

◎小林篤郎『物質の謎』(1944)の「序」 昨日の続きである。戦争末期、京都の大雅堂から「ぼくらの文庫」という叢書が刊行されていた。本日は、その一冊、小林篤郎著『物質の謎』(一九四四年八月二〇日、初版二〇〇〇部)の「序」を紹介してみたい。国…

「ぼくらの文庫」(大雅堂)について

◎「ぼくらの文庫」(大雅堂)について 先の大戦の末期、京都市中京区の大雅堂から、「ぼくらの文庫」という叢書が刊行された。国立国会図書館には、清水三男『ぼくらの歴史教室』(一九四三)をはじめとして七冊が架蔵されている。ただし、この七冊のほかに…

日中戦争の敗北を予言した笠間杲雄

◎日中戦争の敗北を予言した笠間杲雄 昨日に続き、笠間杲雄『青刷飛脚』(六興商会出版部、一九四一)から。同書の中に、「読史ところどころ」というエッセイがある。本日は、その前半部分(二九一~二九二ページ)を紹介してみたい。 読史ところどころ 兵は…

笠間杲雄のエッセイ「排外は国辱」(1941)

◎笠間杲雄のエッセイ「排外は国辱」(1941) 笠間杲雄〈アキオ〉(一八八五~一九四五)といえば、戦前は、イスラム通の外交官として知られ人物であった。健筆家であり、岩波新書『回教徒』(旧赤版33、一九三九)などの著書がある。終戦を目前にした一…

岩波新書『ナンセン伝』第二刷に、二通りの定価

◎岩波新書『ナンセン伝』第二刷に、二通りの定価 岩波新書『ナンセン伝』第二刷には、発刊の辞「岩波新書を刊行するに際して」(一九三八年一〇月)が載っているものと、それが載っていないものとがある。 前者のほうは、本扉と目次で計八ページ、本文二〇〇…

岩波新書『ナンセン伝』第二刷に、二種類あり

◎岩波新書『ナンセン伝』第二刷に、二種類あり 昨日のコラムには、「岩波新書『ナンセン伝』第二刷(1946)の謎」という、思わせぶりなタイトルをつけてしまった。 どこが「謎」なのかという説明が十分でなかったので、まず、これについて補足する。天下…

岩波新書『ナンセン伝』第二刷(1946)の謎

◎岩波新書『ナンセン伝』第二刷(1946)の謎 昨年六月二七日のコラム「戦後に甦った岩波新書旧赤判『発刊の辞』」において、岩波新書の発刊の辞「岩波新書を刊行するに際して」(一九三八年一〇月)が、岩波新書『ナンセン伝』の第二刷(一九四六年三月…

『人喰いの民俗学』(1997)の思い出

◎『人喰いの民俗学』(1997)の思い出 鵜崎巨石氏が、今月一七日のブログ「礫川全次編著『人喰いの民俗学』」で、拙編著『人喰いの民俗学』(批評社、一九九七)について論評してくださっている。あいかわらずの鋭い切り口である。 どんな本であれ、完成…

平凡社全書刊行予定書目125冊

◎平凡社全書刊行予定書目125冊 昨日の続きである。越村信三郎著『アダム・スミス』(平凡社全書、一九四八)の巻末には、「平凡社全書書目」というものがついている。驚くのは、その数である。全部で、一二五の書目がリストアップされている。本日は、こ…

平凡社全書を世に送る(1948)

◎平凡社全書を世に送る(1948) 戦中の労働状況については、まだ紹介したい文献や映画があるが、本日は話題を変える。 昨日、神保町の古書展で、越村信三郎著『アダム・スミス』(平凡社全書、一九四八)という本を入手した。古書価は、たしか二〇〇円だ…

生産力の拡充がかへつて生産力の破壊的現象を生ずる

◎生産力の拡充がかへつて生産力の破壊的現象を生ずる 本日は、話題を変えようと思ったが、ここ数日、当ブログへのアクセスが妙に高いので、もう少し、戦中の労働状況に関する話を続けてみる。 鶴田三千夫の『技術と社会政策』(光書房)が発刊されたのは、一…

戦中の職工の「自己保全的」対応とは

◎戦中の職工の「自己保全的」対応とは 戦中の職工は、過酷な長時間労働、連続労働を強いられた。長時間労働・連続労働を制限する目的で、一九三九年(昭和一四)に制定された「工場就業時間制限令」もザル法と化し、一九四三年(昭和一八)には、ついにそれ…

工場就業時間制限令(1939)

◎工場就業時間制限令(1939) 今月一二日のコラムでは、法政大学大原社会問題研究所編著『太平洋戦争下の労働者状態』(「日本労働年鑑」特集版、東洋経済新報社、一九六四)の第三編第三章第四節を引きながら、昭和一〇年代における長時間労働の実態の…

このブログの人気記事(2015・1・14)

◎このブログの人気記事(2015・1・14) 本日は、都合により、「このブログの人気記事」のみ。 *このブログの人気記事 2015・1・14 憲兵はなぜ渡辺錠太郎教育総監を守らなかったのか 小野武夫博士、ハサウェイ女史と出会う 石原莞爾がマーク・…

昭和10年代における長時間労働の実態

◎昭和10年代における長時間労働の実態 昨日の続きである。『技術と社会政策』(光書房、一九四一)の著者・鶴田三千夫は、ナチス・ドイツを引き合いに出しながら、「一日八時間労働制」の必要性を説いた。「勤労精神の振作」を言うのであれば、まず、労働…

ナチスを引き合いに、戦中に八時間労働制を主張

◎ナチスを引き合いに、戦中に八時間労働制を主張 本日も鶴田三千夫の『技術と社会政策』(光書房、一九四一)から。昨日は、同書の「はしがき」を紹介した。そこにおいて鶴田は、日本もナチス・ドイツにならって、労働者の生活向上を保証せよという旨を主張…

鶴田三千夫の『技術と社会政策』(1941)

◎鶴田三千夫の『技術と社会政策』(1941) 昨日は、寺尾宏二の『日本賦税史研究』(光書房、一九四三)という本を紹介した。本日は、鶴田三千夫の『技術と社会政策』(光書房、一九四一)という本を紹介してみたい。この両書は、ともに光書房という出版…

寺尾宏二の『日本賦税史研究』(1943)

◎寺尾宏二の『日本賦税史研究』(1943) 以前、このコラムで、津下剛〈ツゲ・タケシ〉の『日本農史研究』という本を紹介した。戦時中の一九四三年(昭和一八)七月に、わずか一〇〇〇部が発行された稀覯書である。発行元は、東京市神田区美土代町〈ミト…

伊藤昭久さん、田村治芳さん、松岡正剛さん

◎伊藤昭久さん、田村治芳さん、松岡正剛さん 伊藤昭久さんの『チリ交列伝』は、はじめ、『彷書月刊』という古書関係の雑誌に連載されていたという。その連載が、論創社の目にとまって単行本になり(二〇〇一)、さらに、ちくま文庫にもなった(二〇〇五)。 …

紅海に身を投げた植原愛算

◎紅海に身を投げた植原愛算 昨日の続きである。若林半著『回教世界と日本』(非売品、一九三七)から、冒頭の「回教政策の回顧」を紹介している。本日は、その三回目(最後)。昨日紹介した部分に続けて、改行して次のようにある。 田中逸平君は学和漢に通じ…

回教徒・田中逸平の昇天

◎回教徒・田中逸平の昇天 昨日の続きである。若林半著『回教世界と日本』(非売品、一九三七)から、冒頭の「回教政策の回顧」を紹介している。本日は、その二回目。昨日紹介した部分に続けて、改行して次のようにある。 然るに会々〈タマタマ〉昭和七年〔一…

若林半著『回教世界と日本』(非売品、1937)

◎若林半著『回教世界と日本』(非売品、1937) 上野文庫(かつて上野広小路に存在した古書店)の店内で、店主の中川道弘さん(一八四〇~二〇〇三)と雑談していたとき、これからどういう本が売れるのかということが話題になった。おそらく二〇〇〇年前…

現代にタイムトラベルした必殺仕事人

◎現代にタイムトラベルした必殺仕事人 昨日、柏木隆法氏から個人通信「隆法窟日乗」が送られてきた。相変わらず、鋭い舌鋒(筆鋒)で世相を斬りまくるかと思うと、超人的な記憶力によって昔の出来事を再現されている。時節柄、嘆かわしい話題も多いが、私な…

海老沢有道、「創られた伝統」を指摘

◎海老沢有道、「創られた伝統」を指摘 昨日の続きである。海老沢有道の『近代日本文化の誕生』(日本YMCM同盟出版部、改定版一九六八)から、「一一 ごまかされた維新」の章を紹介している。本日はその三回目。 昨日紹介した部分に続けて、海老沢は、平田篤…

西洋の天文学と国学の日本開闢説

◎西洋の天文学と国学の日本開闢説 昨日の続きである。海老沢有道の『近代日本文化の誕生』(日本YMCM同盟出版部、改定版一九六八)から、「一一 ごまかされた維新」の章を紹介している。 昨日紹介した部分に続けて、改行して次のようにある。 こうした洋学の…

海老沢有道と「ごまかされた維新」

◎海老沢有道と「ごまかされた維新」 明けましておめでとうございます。 本年も、当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。 新年、最初に取り上げるのは、海老沢有道〈エビサワ・アリミチ〉の『近代日本文化の誕生』(日本YMCM同盟出版部、改定版一九…