礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「神社制度調査会」(1929年12月発足)について学ぶ

◎「神社制度調査会」(1929年12月発足)について学ぶ 昭和前期の日本は、政府による宗教弾圧が激しくなり、一九三九年(昭和一四)四月には、「宗教団体法」という宗教統制法が公布された。 特に戦中になると、国家全体が、神憑り的な「宗教国家」の様…

「宗教団体法」(昭和14年4月8日法律第77号)の全文

◎「宗教団体法」(昭和14年4月8日法律第77号)の全文 昨日のブログで、宗教団体法(一九三九)は、インターネット上で閲覧できると書いた。もう少し言うと、今日では、その「原本」までも、インターネット上で閲覧することができる。 本日は、宗教団体…

宗教に対する統制は、文部省の自由裁量(宗教団体法)

◎宗教に対する統制は、文部省の自由裁量(宗教団体法) 赤松徹真教授の論文〝総戦力下の神仏問題と本願寺派「宗制」〟を紹介している。本日は、その二回目で、「宗教団体法」について解説している部分を引用させていただきたい。 政府は一九三九(昭和十四)…

「総戦力下」における宗教統制と宗教弾圧

◎「総戦力下」における宗教統制と宗教弾圧 龍谷大学の赤松徹真(あかまつ・てっしん)教授に、〝総戦力下の神仏問題と本願寺派「宗制」〟という興味深い論文がある(『眞宗研究 眞宗連合學會研究紀要』第五二巻、二〇〇八年三月)。 その論文の中で、赤松教…

僕は北さんの所で朝日平吾に会っている(嶋野三郎)

◎僕は北さんの所で朝日平吾に会っている(嶋野三郎) 当ブログでは、今月三日から六日にかけて、吉野作造の「朝日平吾論」を紹介した。民本主義者として知られる吉野作造が、テロリズムを擁護するかの如き発言をしていたことに、かなり驚いた。 その後、朝日…

神道は、「宗教」として自立・成長できたのか

◎神道は、「宗教」として自立・成長できたのか 折口信夫の「神道の新しい方向」(民俗学研究所編『民俗学の話』共同出版社、一九四九年六月)は、文字通り、「神道の新しい方向」を示そうとした文章である。折口信夫には珍しく、きわめて論旨が明白なエッセ…

日本は「宗教的な情熱」という点で敵国に劣っている

◎日本は「宗教的な情熱」という点で敵国に劣っている 昨日の話の続きである。国文学者・歌人の折口信夫(おりくち・しのぶ)は、終戦直後に、「神道の新しい方向」というエッセイを発表した。私はそれを、民俗学研究所編『民俗学の話』(共同出版社、一九四…

みなさんが勝ち、われわれは敗けました

◎みなさんが勝ち、われわれは敗けました 今月になって、畏敬する大橋尚泰さんの新刊『長崎の原爆で終わった抑留――イギリス人修道女の戦争体験記』(えにし書房、二〇二二年八月)を読んだ。この本は、カトリックのマリー=エマニュエル修道女の手記「日本で…

清水澄博士、錦ヶ浦から身を投げる(1947・9・25)

◎清水澄博士、錦ヶ浦から身を投げる(1947・9・25) 『国家学会雑誌』第四八巻第五号(一九三四年五月)から、清水澄の論文「帝国憲法改正の限界」本日は、その八回目(最後)。 帝国憲法第七十四条第二項に「皇室典範ヲ以テ此ノ憲法ノ条規ヲ変更スル…

憲法改正の手続を規定した第73条は改正できるか

◎憲法改正の手続を規定した第73条は改正できるか 『国家学会雑誌』第四八巻第五号(一九三四年五月)から、清水澄の論文「帝国憲法改正の限界」を紹介している。本日は、その七回目。 一〇 帝国憲法第七十三条は、本篇の冒頭に記載したる所の如く、憲法改…

憲法裁判所特置の要求はむげに排斥すべきでない

◎憲法裁判所特置の要求はむげに排斥すべきでない 『国家学会雑誌』第四八巻第五号(一九三四年五月)から、清水澄の論文「帝国憲法改正の限界」を紹介している。本日は、その六回目。 なお、今回、紹介した部分には、二か所、割注(わりちゅう)があった。そ…

枢密顧問についての規定も変更すべからず

◎枢密顧問についての規定も変更すべからず 『国家学会雑誌』第四八巻第五号(一九三四年五月)から、清水澄の論文「帝国憲法改正の限界」を紹介している。本日は、その五回目。 七 帝国憲法第五十六条に「枢密願問ハ枢密院官制ノ定ムル所ニ依リ天皇ノ諮詢ニ…

立憲政治は議会を設けて立法に参与せしむることを要件とする

◎立憲政治は議会を設けて立法に参与せしむることを要件とする 『国家学会雑誌』第四八巻第五号(一九三四年五月)から、清水澄の論文「帝国憲法改正の限界」を紹介している。本日は、その四回目。 五 帝国憲法第三十三条に「帝国議会ハ貴族院衆議院ノ両院ヲ…

兵権を天皇に回収したことは維新の改革の一要目

◎兵権を天皇に回収したことは維新の改革の一要目 『国家学会雑誌』第四八巻第五号(一九三四年五月)から、清水澄の論文「帝国憲法改正の限界」を紹介している。本日は、その三回目。 三 帝国憲法第五条に、「天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ」とあ…

帝国憲法の条規中、絶対的に変更すべからざるもの

◎帝国憲法の条規中、絶対的に変更すべからざるもの 『国家学会雑誌』第四八巻第五号(一九三四年五月)から、清水澄の論文「帝国憲法改正の限界」を紹介している。本日は、その二回目。 帝国憲法改正の限界を闡明〈センメイ〉するには、其の条規中絶対的に変…

清水澄の「帝国憲法改正の限界」(1934)を読む

◎清水澄の「帝国憲法改正の限界」(1934)を読む 憲法学者・清水澄(とおる)博士の論文「帝国憲法の解釈に付いて」(『国家学会雑誌』第四七巻第八号、一九三三年八月)を読み終えた。引き続き、同博士の「帝国憲法改正の限界」(『国家学会雑誌』第四…

安房北条駅の駅長室で終戦の放送を聞く

◎安房北条駅の駅長室で終戦の放送を聞く 例年、この時期になると、一九四五年(昭和二〇)の八月一五日に、どこでどういう形で、終戦の放送を聞いたかという話題が登場する。 たまたま、昨日、インターネット上に、「房日新聞」の「乗客も玉音放送聞く 8月…

帝国憲法の条規で不能なるものは実行せざるも可(清水澄)

◎帝国憲法の条規で不能なるものは実行せざるも可(清水澄) 『国家学会雑誌』第四七巻第八号(一九三三年八月)から、清水澄の論文「帝国憲法の解釈に付いて」を紹介している。本日は、その五回目(最後)。文中、傍点が施されていた箇所は、下線で代用した…

いわゆる緊急勅令と帝国議会による承諾

◎いわゆる緊急勅令と帝国議会による承諾 『国家学会雑誌』第四七巻第八号(一九三三年八月)から、清水澄の論文「帝国憲法の解釈に付いて」を紹介している。本日は、その四回目。 今回、紹介した部分には、二か所、割注(わりちゅう)があった。その部分は、…

同一の措辞は原則として同一の意義を有する

◎同一の措辞は原則として同一の意義を有する 『国家学会雑誌』第四七巻第八号(一九三三年八月)から、清水澄の論文「帝国憲法の解釈に付いて」を紹介している。本日は、その三回目。文中、傍点が施されている箇所があったが、下線で代用した。 四 帝国憲法…

事件がパンドラの箱を開けたと捉えるのはマズイ(青木理)

◎事件がパンドラの箱を開けたと捉えるのはマズイ(青木理) 清水澄の論文「帝国憲法の解釈に付いて」を紹介している途中だが、ここで、時事ネタを入れる。 今月七日の「スポーツ報知」電子版(8:55配信)で、‶青木理氏、「旧統一教会」と政治家の関係で「安…

我国は独特の國體を有する(清水澄)

◎我国は独特の國體を有する(清水澄) 『国家学会雑誌』第四七巻第八号(一九三三年八月)から、清水澄の論文「帝国憲法の解釈に付いて」を紹介している。本日は、その二回目。「國體」という言葉については、正字(旧漢字)を使用した。 二 帝国憲法の制定…

清水澄の「帝国憲法の解釈に付いて」(1933)を読む

◎清水澄の「帝国憲法の解釈に付いて」(1933)を読む 憲法学者の清水澄(しみず・とおる、1868~1947)については、このブログで、何回か触れたと記憶する。法学博士、枢密院議長。最近、必要があって、清水澄博士の論文をふたつ読んだ。「帝国…

礫川ブログへのアクセス・歴代ベスト50(2022・8・8)

◎礫川ブログへのアクセス・歴代ベスト50(2022・8・8) 本日は、礫川ブログへのアクセス・歴代ベスト50を紹介します。なおこれは、あくまでも、アクセスの多かった日のランキングであり、アクセスの多かった記事のランキングではありません。 礫川…

昭和テロリズム擁護論の先駆は吉野作造

◎昭和テロリズム擁護論の先駆は吉野作造 吉野作造『講学余談』(吉野作造著作集、「主張と閑談」第六、一九二七年五月)から、〝宮島資夫君の「金」を読む―朝日平吾論〟を紹介している。本日は、その四回目(最後)。 × × × × × 斯くいへばとて私は、安田翁…

安田善次郎は財界の張作霖(吉野作造)

◎安田善次郎は財界の張作霖(吉野作造) 吉野作造『講学余談』(吉野作造著作集、「主張と閑談」第六、一九二七年五月)から、〝宮島資夫君の「金」を読む―朝日平吾論〟を紹介している。本日は、その三回目。 彼は実に金を作ることに於ては稀代の天才であつ…

安田善次郎の怪腕には玄人筋も舌を捲いた

◎安田善次郎の怪腕には玄人筋も舌を捲いた 吉野作造『講学余談』(吉野作造著作集、「主張と閑談」第六、一九二七年五月)から、〝宮島資夫君の「金」を読む―朝日平吾論〟の紹介をおこなっている。本日は、その二回目。 啻に〈タダニ〉之ればかりでない。本…

吉野作造の「朝日平吾論」を読む

◎吉野作造の「朝日平吾論」を読む 橋川文三によれば、吉野作造は、その著書『講学余談』の中に、「朝日平吾論」を収めているという。さっそく、これを読んでみた。 吉野作造『講学余談』(吉野作造著作集、「主張と閑談」第六、文化生活研究会、一九二七年五…

朝日平吾は昭和テロリズムの先駆か

◎朝日平吾は昭和テロリズムの先駆か 数日前、雑誌『伝統と現代』の第14号「暗殺」(一九七二年三月)を取り出し、津久井龍雄と橋川文三の対談「諌死・斬奸の思想」を読んだ。以前にも読んでいるはずだが、ほとんど覚えていない。 途中で、「朝日平吾」の名前…

国家がカルト化するということ

◎国家がカルト化するということ 二〇一四年末、礫川は、批評社の広報誌『Niche』の第30号(二〇一五年一月)に掲載するため、〝「邪教」と国家権力――邪教か否かの判断を国家権力に委ねてはならない〟という文章を書いたことがある。その文章の最後で、私は…